過食症と栄養失調

 

 過食症は栄養失調から脳がもっと栄養を欲しいと要求している信号だと私は思っている。過食症の人の食生活はジャンクフードやデパ地下、コンビニ、外食がほとんどで、自宅での野菜中心の食生活とはかなりかけ離れている。

 

 その為ビタミン、ミネラル、食物繊維、などの重要栄養素が欠乏していると思われる。腸の中では過食によるヘドロと、食品添加物によるごみがいっぱいで悪臭のぷんぷんとする、ヘドロとごみが漂う川のようになっている。

 

 その為、悪玉菌が蔓延して、腸から吸収される栄養素の質がかなり低下しており、脳が必要とする栄養が不足しているものと思われる。質の悪い物ばかりを食べるので食べても食べても、脳が満足しないのだ。

 

 ここで過食症の大学生(女性)の食生活(実例)を紹介してみよう。A子さんの食べたもの、3日間の夕食で食べた物を紹介する。

 

1日目 シュークリーム10個、 プリン3個、 サンドイッチ2人前、 握り  

    寿司1箱。

 

2日目 食パン1斤、インスタントコーヒー(ミルク、砂糖入り)を飲みながら   

    食べる。みかん3個、大福餅1パック5個入り。

 

3日目 カップラーメン3個、ロールケーキ1本、おにぎり2個、チョコレート1枚。

 

 以上が過食症で悩む、女子大学生の夕食だ。この内容を見ると野菜果物がほとんど取れていないのが分かる。新鮮な魚介類、穀物、海藻、豆類、も少ない。

甘い物や食品添加物入りの、食品が多い。

 

 これではビタミン、ミネラル不足で脳が満足しないのだ。栄養が偏り過ぎているため、食べても食べても常に空腹感を感じている。胃が空っぽではない。脳が栄養を欲しがっている証拠である。

 

 その為、体重は20キロ太り、慢性のうつ症状で大学に行く気もしない、部屋に閉じこもり、動くのも、何をやる気もしない。いつも自分を責め、無気力、自意識過剰で外を歩けない。

 

 外に行くのはコンビニに食料を買い出しに行くときぐらいだ。とにかく早食いで、次から次へと食べ物を口の中に押し込んでゆく食べ方をする。食べて食べて、のど元まで詰め込んで、胃が破裂して穴が開くほど食べる。

 

 その挙句、朝になってむくんでいる自分の顔を鏡に映して嫌になる、デブで、意志薄弱で、臆病で、卑屈で、人間の屑だと自分を責める。そんな毎日である。何をしていても食べ物のことが頭から離れない。

 

 コンビニで買ったものを1口食べ始めるとやっと、自分の存在意識を感じたような状態になり、気持ちが落ち着く。これが鍼灸院に来る過食症で悩む女子大学生の訴える症状であった。

 

 脳は甘い物を欲しがる、甘い物が大好きだからである。しかし、脳は全身の中枢であるから全身の細胞から要請のある栄養に対しても、その栄養を必要とするのだ。

 

 ましてヘドロやごみの浮遊している腸内の悪玉菌が作り出す栄養物では、ビタミン、ミネラル、食物繊維の不足で満足しない。脳はいくら食べても食べても、NOの返答しか出さないのである。これが過食症から抜け出せない人の原因であると考える。

 

 過食症で悩んでいる人は、なぜ過食症になるのか、その原因を突き止めて、食生活の改善をしなければならない。過食症は食生活が関係していることがはっきりしている。

 

 ただ、精神的打撃、失恋、人間関係、重労働、などによってもビタミン、ミネラル、その他の栄養は沢山消費される。その為に脳は飢餓感を与え必要とする栄養を補給するよう要請する。何かショックが起きるとやけ食いするのは、このような時だ。

 

 過食症の人は脳が過食することを許している。その為ダイエットの食事をすると、ひどく飢餓感を覚え耐えられない。そこでやけ食いをすると、ますます太りリバウンドしてしまうのだ。

 

 過食症の人を良い食生活に導くにはどうするか? まず、腹満腹になるまで食べてもらう事である。それには無水鍋で野菜をたくさん煮て、それを主食として沢山食べてもらう。副菜としてはなるべく果物を取る。その他はあまり制限しない。

 

 この生活をまず1か月続けてもらう。過食に変わりがないのだが、野菜果物が毎日入ることにより、ビタミン、ミネラル、食物繊維は十分に補給される。2か月目は玄米食をこれに加えて食べてもらう。

 

 過食といっても野菜が主食となり、果物が副菜となり、玄米食がそれに加わると、その他の食品が少なくなってくるはずだ。ビタミン、ミネラル、食物繊維によって腸内では善玉菌が徐々に増えてくる。

 

 それに伴って飢餓感が徐々に減り始める。それでもまだ、過食があるため腸内でのヘドロやごみは改善されていない。4か月目はここで1食抜きの生活をしてもらう。朝だけ、野菜果物のジュース1杯と味噌スープ1杯の食事にすることだ。

 

 3か月間の野菜果物の食生活でビタミン、ミネラル、食物繊維は十分に補給されているから、1食抜きでの食生活でも耐えられる。昼食と夜の食事は今まで通り、腹満腹になるまで食べてよい。

 

5か月目からは食品添加物入りの食品をすべて排除してもらう。普門堂鍼灸院で制作したホームページ「がん専門情報サイト」を検索してもらうと、食品優劣ランク表というのがある。

 

 その食品優劣ランク表には、ほとんどすべての食品に対して、食べてよい優秀食品と、食べると悪い食品が一覧表になって記載されている。これを見ることによって何を食べれば食品添加物を避けることが出来るかがわかる。

 

 食品添加物が入ってこなくなると、腸の中のごみが無くなって来る。後は過食によるヘドロだけだ。6か月目からはいよいよ、腹8分の生活に入ってもらう。朝は野菜ジュースとミソスープ、昼食と夜の食事を腹8分にしてもらう。

 

 もうこの頃になると、脳は栄養充分で善玉菌の作り出す栄養によって、あまり飢餓感を覚えないはずだ。腹8分の食生活にも十分耐えられる基礎的な食生活になっている。不安感、劣等感、うつ病的な気持ちは無くなっている。

 

7か月目からは上記の食生活に加えて、運動、良質な睡眠、精神的なゆとり、生活環境の改善に取り組んでいただきたい。体重もどんどん減って、その頃には胴回りがスッキリして、ズボンもぶかぶかになっている事だろう。

 

 この記事を読んだからといって、焦って次々と先回りして急いではいけない。1か月づつ、慎重に進めないと失敗することになりかねない。一度に早急な変化をさせることは、身体がついて来れない事が多い。

 

 過食症で苦しんで太っている人は、ぜひこの記事を読んで、実行していただきたい。必ず元気になり、うつ的な感情が無くなり、朗らかになって、多くの人と人間関係を楽しむことが出来るだろう。