少食はなぜ必要か

少食はなぜ必要か

 癌になる原因としては、過食、間食、食品添加物、精神的ストレス、過労、化学薬品、酒、タバコ、医療行為、我侭な生活、など多くの原因が背景に潜んでいます。

 

 その中でも過食、間食は最も癌になる原因として私は注目している。肥満、高血圧、心臓病、糖尿病、などの慢性病はほとんどが過食、間食が背景にある。と言うことは、過食、間食が癌になる影響としては、もっとも大きいウエイトを占めると考えています。

 

 ここでサルを使った実験を紹介します。

 

 ウイスコンシン大学のサルの実験によると、20年間にわたり、カロリー70パーセントに制限した郡と、100パーセントの郡を比較したものです。まずは、観察期間の長さに圧倒されます。

 

 この実験では腹7分のグループは1.6倍も長生きだったのです。さらに満腹組みのサルたちは一様に老けて、毛もバサバサで、シワだらけなのに、減食組みのサルは毛の艶もよく、肌も若々しく、活発に動き回っていたのです。

 

 さらに米コーネル大学によるマウスの実験では、カロリー60パーセントにしたマウス郡は、100パーセントの飽食にしたマウスの2倍生きたのです。食事を半減したら寿命が倍になった。研究者たちは驚愕しました。

 

 しかし、これは発想を逆にすべきです。つまり、理想的な食事量の2倍与えていたから寿命は半減していた、こう考えるべきです。つまり実験動物も、一方の郡は、理想の倍もの餌を与えていたのです。(『やってみました!11食』船瀬俊介著から引用)

 

 これらの動物実験でも分かるように、少食にすれば元気で長生きできるのです。

 

 少食にすると、腸内に適量な食材が入って来るので、腸内細菌郡による発酵がスムーズに進み、消化吸収が良くなります。その栄養が肝臓に入ると適量の栄養を肝臓は再加工してから血流に乗せ全身に配分します。

 

 この消化吸収、腸内細菌による醗酵、肝臓での再加工、この一連の過程で、最も理想的な、身体に負担の掛からない食事量が少食なのです。

 

 さらに少食にすると空腹感が食後から付きまといます。この空腹感こそ肝臓を初めとした内臓全般の補修再生の時間帯なのです。ここで間食をすると、内臓全般の補修再生は見送られます。ですから、空腹感は最も大切な時間帯と言う事になります。

 

 少食にすると腸内細菌による醗酵の過程で、エンドルフィンが大量に作られます。これは幸福感を与えるホルモンで気分を良くします。気持ちが春のぽかぽか陽気のように晴れ晴れとしてくるのです。

 

 気分が良くなり、幸福感に満たされた身体の中では、NK細胞という免疫細胞が活発に作られます。このNK細胞は毎日、癌細胞を攻撃、撲滅してくれているのです。

 

 少食――空腹感――エンドルフィン分泌――幸福感――NK細胞の増殖――癌の予防となる流れが出来上がるのです。健康な人でも毎日5000個の癌細胞が出来ているのです。

 

 この癌細胞をNK細胞が丹念に攻撃、撲滅しています。

 

 問題は、過食、間食をしている人達の体内環境です。サルの実験でも満腹組は、毛がパサパサになり、肌はしわだらけ、老化が進んでいました。このような症状が出るという事は、体内環境の悪化、NK細胞の機能低下があり、癌の出来やすい身体になっているのです。

 

 人間の食欲は知らず知らずのうちに、適正量の2倍近くもの量を毎日食べています。毎日の事ですから、腸内環境、肝臓、膵臓、腎臓など重要な臓器が疲れて、喘ぎ喘ぎ毎日の健康を維持しています。

 

 それに対して食事の量を半分にすると、慢性病予防の為にも、癌になった人にも、欠かすことの出来ない基本的な健康生活となります。健康で長生きする為には少食生活を土台として下さい。