宿便と癌

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 西洋では末期がん患者を食生活で治療した先駆者の一人としてゲルソンがいます。ゲルソンは宿便とは言わず、身体の中から毒素を排出するという表現をしています。

 

 通常の便とは違い、真っ黒で臭い匂いのする宿便が、末期癌患者を治療している時、出て来る便を見て身体の中の毒素が排出されていると考えました。ゲルソンは他の病院でもうダメだと宣告された末期癌患者さんのみ、受け取って治療していました。

 

 末期癌患者に対して最初は、大量の野菜ジュース(粕を取り除いた液体だけ)のみを主食として、3カ月も治療していたのです。(その後は野菜を中心とした腹7分の食生活にする)いくら大量であってもカロリーの少ない野菜ジュースは腹が減って、断食と同じ効果がありました。

 

 その為、断食で出て来る宿便と同じ真っ黒で、臭い毒素が出てきました。ゲルソンはその毒素をさらに大量に出すために、しばしばコーヒー浣腸を行っています。身体から毒素を排出するのが最大の目的でありました。

 

 この毒素を徹底的に排除することに成功した末期癌患者さんはその後、回復傾向に弾みが付き社会復帰していったのです。

 

 日本では甲田光雄さんが食生活で癌患者さんを治療した先駆者の一人であると思います。甲田さんは断食の時、ほとんどの人から宿便が出る事に注目しました。全く便秘をしたことのない健康な人でも断食をすると宿便が出るのです。

 

 甲田さんは一般の慢性病すべてに断食療法を使っています。その総数は何千人にも及ぶと言われています。医者でありながら薬を使わず食生活の改善ですべてを解決した功績は大きいと思います。

 

下剤を使って腸内の内容物を全部排出してから、内視鏡で腸内を見ると宿便は全く見当たりません。腸内にこびりついている黒い便という印象が多いのですが、実は宿便を見つけることは出来ないのです。

 

それにもかかわらず、断食をすると真っ黒い、臭い便が出て来るのです。これをどう解釈したらよいのか? 謎であります。

 

小腸内部の細胞の表皮が新陳代謝の過程で剥がれ落ち、それと小腸内部の腸内細菌の死骸が出て来るという説もあります。しかし、この説は一般の健康な人では通常、普通に起きている現象であります。

 

私の独断と偏見で推理すると、断食をすると食物が入ってこない為、腸内細菌と腸内細胞は自己修理を始めます。この時、細胞の中にため込んでいた毒素を排出しているのではないでしょうか?

 

この毒素を排出した後では、優秀な栄養の吸収、強い免疫細胞が生産され、癌や慢性病がドンドン良くなってゆくのです。ゲルソン博士も甲田光雄先生もこの宿便に一番重点を置いて、排出することを大切にしています。

 

末期癌に対しては食生活、少食、生活環境、など重要な生活の項目がありますが、それだけでなく、宿便という事も重要なキーポイントとして考える必要があると考えられます。

 

癌細胞が急速に増殖する末期癌患者さんの場合、その体質は悪液質に満ちています。この悪液質の解消に当たって、ゲルソンは3カ月に及ぶ徹底した野菜ジュース生活と毒素を排出する為のコーヒー浣腸を度々行っています。

 

甲田光雄氏は断食と宿便の排出に力を注いでいます。一旦食生活をストップして、体内の毒素を徹底的に排除することを優先しています。いずれも共通していることは悪液質である体内環境を変える事に重点を置いています。

 

宿便と癌という視点は、末期癌患者さんの治療にとって、重要なキーポイントとなるかもしれません。末期癌の場合は緊急を要する治療が必要でありますから、ゲルソンや甲田さんのように思い切った治療法も必要と思われます。