自分で造る慢性病

 

 慢性病になる人は、自分でその原因を造っている人が多い。酒、たばこ、過食、甘い物、お菓子、間食、夜食、など悪いと分かっていながら辞められない。

肝臓がんになって、末期ですからお酒は止めてくださいと言われても、【お酒を止めるぐらいなら、死んだ方がましだ】という人も居る。

 

 また、子育て中のお母さん方も、子供が欲しがるからお菓子は止められない。

甘いお菓子が悪いことは分かっているけど、ダメなのですと言っている。

 

 先日、不登校で中学2年生の女の子を持つお母さんが治療にやって来た。朝、学校に行くときになると、気分が悪くなり、身体もダルク、起き上がる気力も無くなる。先生からはズル休みだと言われるが、親として観察していると、どうもそればかりではないような気がする。お医者さんでも原因が分からなかった。

 

 子供の性格を熟知している親としては、この子がズル休みするような性格の子供ではないことをよく知っている。それに朝の動作を見ていると、顔色が悪く、動きも緩慢で、起き上がるとき力が入らない様子が覗える。

 

 これはおかしいと思い、鍼灸院に連れて来た。このお母さん昔、難病で苦しんでいた時に治したことがある。そのときの事を思い出し、子供にも鍼灸治療が効くのではないかと思い連れて来たのだ。

 

 子供を診察してみると肝臓系統の弱りがはっきりと出ている。肝臓が悪いとか、病気があるという意味ではない。他の臓器と比べるとバランスが低くなっているのだ。

 

 これは医学の検査では出てこない。東洋医学の脈診術で診察すると、このような不定愁訴ははっきりと分かる。普通、子供がこのような不定愁訴を訴えることはない。食生活の中に何らかの悪い習慣がある可能性がある。

 

 食べ物の好みを聞いてみると、甘い物が好きで、毎日お菓子をよく食べているという事であった。甘い物やお菓子を食べないようにすることは出来ますか? 子供が毎日楽しみにしている物だから止めさすことは無理です。

 

 それなら、甘酒、干し柿、干しブドウ、果物、黒砂糖、などで好きなものはありますか? 甘酒と果物は好きです。それなら甘いお菓子、お饅頭、ロールケーキ、などは総て止めて、甘酒と果物だけにして下さい。

 

 甘いお菓子、お饅頭、ロールケーキなどには砂糖と食品添加物が沢山入っている。それに引き換え甘酒は発酵食品で良い菌が生きている。又果物は甘いが食品添加物は無く、自然の甘さで栄養も豊富だ。

 

 この違いだけで身体に与える影響は大きく変化する。子供は生命力が旺盛なだけに回復も早い。1週間の食生活の改善で、身体は病気前と同じ元気になり、学校にも普通に行くようになった。

 

 椎間板脊椎狭窄症で、腰が痛く、足が痺れ、15分立てっていられない、腰が前にかがむ、歩くと腰がダルイなどの症状で来院したお年寄りがいた。まだ、現役で仕事をしている。無理にでも働かなければならない。

 

 食生活を聞いてみた。お酒が好きで毎日欠かすことなく、2合の酒と焼酎1杯を飲んでいると言う。お酒は止められますか? お酒だけは無理だな! だけどこの腰の具合から見て、もう腎臓機能が限界に近い状態です。

 

 このままお酒を続けると、ぽっきり折れるように身体が動かなくなる可能性がありますよ。 うーん! それは困るなー! お酒を止めると腰の具合が楽になりますか? それは楽になりますよ! 試しに2週間きっちりとお酒を止めてみて下さい。

 

 分かりました、やってみます。そう言ってこのお年寄りは帰って行った。それから2週間後に来院した。先生、お酒を止めて1週間を過ぎた頃から、腰が楽になりはじめました。まだ、腰は曲がっていますが、腰の感じはかなり良くなっています。

 

 酒飲はお酒を飲めるだけの体力を持っている人が多い。その為、お酒をきっぱりと辞めると、回復能力も抜群で、症状が短期間で改善することも多い。此の儘、お酒を本当に辞めることが出来れば、椎間板脊柱狭窄症の症状も改善されることだろう。

 

 多くの人が自分の我儘や、食生活に無頓着で美味しい物を腹いっぱい食べる傾向にある。会社は儲かる食品を造る為に、食品添加物でも何でも、利用出来るものはすべて使い、美味しい、日持ちがする、安い、見た目が良い、すぐ食べられる、便利、などの条件を満たした食品をどんどん造りだしている。

 

 今の我儘や食べられる物なら何でも良いとする考え方が、自分の老後の人生を要介護、介護支援、寝たきり、痴呆、慢性病、などの身体造りをしている。癌、その他慢性病は突然襲ってきたものではない。すべて自分が蒔いた種から育った結果だという事を知る必要がある。