癌専門情報サイトを立ち上げている関係で、癌患者さんからの問い合わせが舞い込んでくる。ある時、自分は末期癌と宣告された者だが、抗癌剤治療はしないで、食生活の改善その他で、この末期癌を克服したいと考えている。
食生活に関しての何らかの基準というものはないでしょうか?イロイロな本を読んでみると、著者によって意見はマチマチで、全く統一性が感じられない。ある程度の方向性は分かるものの、我々のような患者にとっては闇の中を手探りでさ迷う様なものです。
あなたの意見をお聞きしたいのですけど、という問い合わせであった。野菜、果物は良い。お菓子やラーメン、食品添加物の多いものはダメ。など一般的な返答は出来るものの、問い合わせからのはっきりした、返答が出来ない自分に腹が立った。
これでは癌専門情報サイトでホームページを立ち上げている価値が全くない。自分自身、深く反省させられた。何とか基準になる情報を作れないものか。それから毎日のように試行錯誤が始まった。
鍼灸院を開業している関係で、脈診術という特別な診断法を持っている。食品を手に取り脈を診る、農薬、食品添加物の入っている食品は身体が拒否反応を起こし、脈が弱くなる。ここまでは早くから分かっていた。
ただ、良い食品、注意する食品、の順番を付けることは出来ないものか?全食品を優劣で順番を付けることが出来ると、ここから上の食品は食べても良いが、これから下のランクに入る食品は注意が必要だという指標ができる。
その後、イロイロと実験を重ねる事によって、すべての食品に順番を付ける手法を確立した。あくまでも脈診術による感覚で決めたものであるから、同じ食品でも産地が違えばまたランクも変わる可能性はある。しかし、大まかに見て、下の方にランクされる食品は、納得していただけるものと思う。
何故、このようなランクずけの指標が必要なのか? 世界の超長寿国、ビルカバンバ、フンザ、コーカサス、ウイグル自治区、パーマ、など100歳以上から120歳の人がごろごろいる地方の食生活を研究している森下博士の著書を読んでみた。
そこに共通していることは、農薬を全く使っていない、食品添加物の食品は全くとっていない、油はクルミを絞ってすぐ使う、無医村だから医者や薬とは無縁である。冷蔵庫もないので食物は取れたものをすぐ使う、ヤギの乳はカメの中に入れ、発酵食品として飲んでいる。穀物は全粒粉のまま臼で引いてナンを焼きたべている。
超長寿村の人は、100歳でも農作業をしている。耳もよく聞こえ、頭もしっかりしている、痴呆症や寝たきりになる人はいない、陽気に笑い、楽しくおしゃべりして村全体が仲良く暮らしている。
この長寿村の食生活を、そっくり現代の生活に取り入れる事は無理がある。しかし、そのシンプルな食生活をよく観察すると、共通点が見えてくる。農薬、食品添加物、を使わない。穀物は全粒粉のまま使っている。油はクルミの搾りたてを使うが、精製された油は使わない。発酵食品はよく食べる。
また、無医村である為、薬にも縁がない。そこから見えてくるものは、身体にとって害になるものは全くとっていないという共通点である。考えてみると、自然界に生存している動物は、すべて自然の物だけを食べて生存している。
元気で長生きして、超長寿村のような人生を送る為には、害になるものは一切取らないことが大切になってくる、というごくあたりまえな、シンプルな結論になった。
脈診術で導き出される食品の優劣は、栄養があるかないかの優劣よりは、害があるかないかで優劣が出てくる。この点、自然食にこだわる食生活にとってはまたとない指標となる。
現代社会において超長寿村と同じ食生活は無理だが、少なくとも害のある物の選定となる指標があれば、この指標を基に食生活の改善で、超長寿村の70%くらいの効果がある食生活が出来るのではないか。
癌、うつ病、糖尿病、心臓疾患、脳卒中、痴呆症、など多くの疾患に対して有効な結果が出てくるのではないか。寝たきりにならず、死ぬまで元気で、ピンピンころり、これが自然食生活の人間が歩む道だと思われる。