癌と腸内細菌

人間と腸内細菌は、ギブ&テイクの共存関係にあります。腸内細菌は、人間に食事と住処を与えてもらい生活させてもらっています。それに対して腸内細菌は人間の健康に欠かせない、様々な代謝産物を作り出してくれます。

 

 腸内には善玉菌、悪玉菌、日和見菌、の3種類の菌が住んでいます。2:1:7の割合です。腸の中では善玉菌と悪玉菌がいつも激しい生存競争を繰り広げています。

 

 一方が増殖すれば、一方が抑えられる。全体の数は、定まっておりますので、何時も腸内では陣取り合戦をしています。

 

 面白いのは、全体の7割を占める日和見菌の存在です。この菌の特徴は、善玉菌が優勢になれば、善玉菌に味方をします。悪玉菌が優勢になれば悪玉菌の味方をします。その為、日和見菌と呼ばれているのです。したがって、善玉菌が優勢となるような食生活が大切になります。

 

 善玉菌は、食物繊維を餌として消化し、健康に大切な、各種のビタミン、ミネラルを生産してくれます。その時に幸せ物質と言われるドーパミンやセロトニンを合成して、人間の気持を良くしてくれます。

 

 また、腸内では免疫力の70パーセントが生産され、癌やその他の細菌に対抗する力を生み出しています。その他、血中のコレステロールを下げたり、肥満、便秘、下痢を防いでくれます。

 

 悪玉菌の勢力が優勢になると、癌細胞の増加、アトピー性皮膚炎、喘息、花粉症、うつ病、心の病、肥満、糖尿病、認知症、自閉症、等のあらゆる病が出てきます。

 

 では、どのようにして善玉菌、悪玉菌、をコントロールする食事をしたらよいのでしょうか?

 

 悪玉菌が増える食事内容は、甘いお菓子類、インスタントラーメン、炭酸飲料水、菓子パン、アイスなどの冷凍菓子、食品添加物の多い食品、スナック菓子、過食、間食、夜食、タバコ、酒の飲み過ぎ、肉の食べ過ぎ、等によって悪玉菌は優勢になります。

 

 善玉菌は食物繊維を餌として生活しています。食物繊維は、野菜全般、根菜類、果物、穀物、海藻、等にたっぷり含まれております。発酵食品はヨーグルト、キムチ、納豆、味噌、醤油、ヌカズケ、チーズ、塩麹、梅干し、甘酒、等の発酵食品全般が善玉菌を優勢にする食品となります。

 

 善玉菌は生きていますから、毎日餌を与えて育ててやることが大切になります。人間も毎日3度の食事をしますが、善玉菌にも3度の食事を与えることが大切です。食事を与えないと、すぐに減少します。

 

 特に食品添加物の入った食品を取らないようにすることが大切になります。食品添加物は食品を長持ちさせる為のものです。お饅頭などは3日もあれば完全に腐敗します。それが添加物のお蔭で2か月近くも長持ちするのです。

 

 食品の中に細菌が湧かないように細菌を殺す薬剤が入っています。それが防腐剤です。その食品添加物が腸内に入った時、人間の大切な腸内細菌を殺す働きをします。腸内細菌が弱ると様々な弊害が出てきます。

 

 便秘、アレルギー、精子の減少、不妊症、肥満、更年期障害、糖尿病、心臓病、癌などあらゆる疾患は腸内細菌が関係するのです。日本では一人の女性が出産する人数は1,4人だそうです。昔は食品添加物が無かったので、女性は一人で5人から10人も出産していました。

 

 アフリカなどの後進国では、食品添加物のない地方が多いので、今でも女性が5人~10人の子供を出産している所もあります。それだけ腸内細菌が活発であれば、総てにおいて健康の度合いが全く違うのです。

 

 腸内細菌は健康に大きな影響を与え、特に癌になる細胞を攻撃する免疫細胞の生産では70%が腸の中で生産されています。腸内が健康であれば癌細胞は初めから出来るような事がありません。それほど腸内環境と癌との関係は重要なのです。