胸腺と癌

 胸腺とは胸腺の中で、免疫機能のT細胞がTリンパ球を生産する基地のような所です。Tリンパ球はあらゆる病原菌や癌細胞などから身を守る免疫システムの中心的な役割を果たします。

 

 胸腺は幼児期から15歳まで発達する。その機能は思春期が最大で、青年、中年、老齢期と徐々に萎縮する。思春期が100の機能があるとすると、青年、中年と徐々に下がり50歳で60の機能となる。

 

 その後は、免疫機能が10年ごとに15%ずつ縮小してゆくので、癌になる人が50歳代から急激に増えてきます。癌の増加と、免疫機能の低下が反比例することは、胸腺の免疫機能がいかに癌を抑制していたかが分かります。

 

 胸腺は免疫細胞を教育する教育施設のようなものです。赤ん坊の時には、そこらにある物、なんでも口の中に入れます。お母さんが汚いから止めなさいと言っても聞かずにしゃぶります。

 

15歳までの間に入ってくる細菌はすべて、免疫機能の教材となり、しっかりとした免疫細胞に成長します。この免疫細胞はTリンパ球と言いまして、軍隊でいうと航空基地の飛行機と飛行士、のようなものです。

 

Bリンパ球は大腸で作られ免疫細胞の60%を作り出します。軍隊でいうと陸軍のようなもので兵隊が沢山います。又、骨髄でもリンパ球が造られています。これは軍隊でいうと海軍に当たります。

 

 免疫細胞はそれぞれに役割があり効果的に病原菌や癌細胞を攻撃、破壊する役目を担っています。 とくにTリンパ球は指示があると直接、癌細胞の所まで飛んでいき攻撃、破壊します。この為、最強のキラーT細胞と呼ばれます。

 

 問題は、このTリンパ球が抗癌剤にめっぽう弱いということです。素早い行動をとれる特徴がある為、抗癌剤が投与されると、その毒素を異物とみなし、真っ先にTリンパ球が攻撃を仕掛けます。

 

 抗癌剤と相打ちになり、Tリンパ球は減少します。ところが抗癌剤の場合、何回でも繰り返し投与されるため、Tリンパ球の数はどんどん減って、胸腺(航空基地)には、飛行機や飛行士が居ない状態になります。

 

 抗癌剤投与により、癌は20%縮小しますが、Tリンパ球は居なくなり、ボロボロになったBリンパ球が体を守ります。残った癌細胞は復活のスピードが非常に早く、34カ月で再発します。

 

 その為再度、抗癌剤投与となり、末期癌の終末状態に追い込まれます。何の効果もなく、苦しいだけの抗がん剤を、癌患者さんは真面目に治ると信じて、苦しさに耐え頑張るのです。

 

 終戦末期の日本軍に例えて説明しましたが、Tリンパ球の居ない軍隊は、制空権を奪われたようなもので、癌細胞は自由自在に転移してしまいます。

 

 胸腺とTリンパ球、は極めて大切なもので、免疫系統でも最高の働きをします。そのTリンパ球が抗癌剤だけには、めっぽう弱いという事実を知っておくことが必要です。